「命を飼う」ということ。

「ペットを飼う」と言うのは何とも心はずむ言葉で私も好きです。
が、なんとなくポップな感じがするだけに
本当に大切なところが見えなくなってしまうこともあります。

ペットとはもちろん生き物であり、命あるものなのです。
つまり「ペットを飼う」というのは「命を飼う」ということでもあります。

これを書いている本日(6月16日)、当院の看板犬トビーが天国へ旅立ちました。

▼元気だったころ(3~4年前)

 

▼昨日(衰弱しきっています。そして本日天命を全うしました)

 

里親として飼い始めたので正確な年齢は不詳ですが
おそらく15~16歳、人間でいうと80歳になるので長生きした方だと思います。
ちなみに犬猫と人間の年齢換算はこちらの表が便利です。

 

ペットを飼うというのは15年余の命を預かるということ

犬猫はだいたい平均して10~15年生きます。
数字だけだとイメージがわきにくいですが
たとえば人間であれば5歳の子供が、成人を迎えている、というような時間軸です。
社会人であれば転勤・転職の1つや2つしているかもしれません。
あるいは定年を迎えているかもしれません。
人間のライフステージも大きく変化します。

ペットブームで、人間と動物が共存する世の中は非常に楽しいライフスタイルだと思いますが、最後まで世話ができなくなるケースも多く存在します。その原因の1つにこの「時間軸」の認識のズレがあるように思います。
つまり「なんとなく2~3年」くらいのイメージです。
中学に進学と同時にペットを飼い始め、最初は慣れないながらも楽しく過ごしていたけど
高校に進学と同時に、いっきにライフスタイルが変化して、ペットどころじゃなくなった(様々な環境や状況、思考の変化)、など。

ペットも今や大事な家族です。
10年、15年、20年・・・。
人間のライフスタイルが変わっていくのと一緒に
ペットのライフスタイルも組み込んでほしいと思います。

 

動物は人間の6倍のスピードで生きている

「その症状いつからですか?」と尋ねると、「1週間前からです」という答えがよく返ってきます。犬や猫は私たちの6倍のスピードで生きていますので、人間だったら1ヵ月前からその症状に苦しんでいたことになるのです。もうちょっと早く来ていただければと思うことも多々あります。
なんだかおかしいな?と思ったら、できるだけ早めにお近くの動物病院にご相談されるのをおすすめします。
最近は、夜間の動物救急など、対応施設も充実してきました。

「人間よりも早いスピードで生きている」ということをご理解いただき
なんだかおかしいな?と思ったら出来るだけ早めの対応をお願いしたい次第です。

 

それでも病気になることもあるし、別れる時も来る。でも「変わる」ことこそが「思い出」になる

トビーは数年前に癌が見つかりました。
ちなみに肺がんです。

いつも診察中、院内をウロウロしては、時折「ゲホゲホ」と妙なセキをしていました。
来院のオーナーさんからは「変なセキしてない?」と突っ込まれ、
「もう年なんでね、おっさんのセキですよ」なんてごまかしていましたが。

ペットは生き物なので、当然病気にもなりますし、
老化もします。
いつかはお別れの時がきます。
生き物は、良くも悪くも「絶えず変わっていきます」

人形やぬいぐるみと決定的に違うのはそこでしょう。

しかし、だからこそ「思い出」が出来るのです。
1年目、2年目、5年目
生まれたばかりの頃、やんちゃな頃、年老いた頃。

毎回それぞれ違った記憶がたくさん蓄積されていきます。
最近は写真や動画も簡単に撮影できたりシェアできるようになりました。

そうやって保存していくのも人間に喜びを与えてくれます。
最近ネットで見つけた、猫ちゃんの成長記録の動画も紹介しておきますね。

 

「ぬいぐるみと違って、変わっていくのが嫌だ」ではなく
「変わっていくことが何よりの魅力であり、最高の思い出」なのです。
そしてそれは、病気になることもあれば、お別れも来ます。

病気になったときには
「大丈夫?」とそっと手をさしのべ、
お別れがきたら
「楽しかったよ、ありがとう」といって泣いてあげるのも
とっても大切な思い出であり、ペットとの大切なつながりの1つです。

それが動物を飼うことであり、命を飼うことでもあります。

なんだかいつもになく長い文章になって支離滅裂なところもあるかもしれませんが、人と動物が共に生きる、ということについて、一人でも響いてくれる人がいればなあと思った次第です。

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